年末になると、皆さん色いろな番組をご覧になられると思いますが、ゆっくりと普段は見ないような映画を見るのもいいですね。
お勧めの映画は、
*めぐり会う朝*
1991年公開のフランス映画です。
アラン・コルノー監督
パスカール・キニャール原作、脚本
ルイ14世時代のフランスに実在したヴィオラ・ダ・ガンバ奏者で作曲家のサント=コロンブと弟子のマラン・マレを素材とした映画。
ヴィオラ・ダ・ガンバの名手として知られ、隠遁生活をおくっていたサント=コロンブの元に若い青年が弟子にして欲しいと訪ねてくる。
コロンブの娘のとりなしで弟子になったものの、宮廷の招きを断り続けるコロンブと出世を目指すマレは袂を分かつことに。
名手ジョルディ・サヴァールの演奏によるサント=コロンブとマラン・マレの音楽が全編に使われ、とても美しい映画です。
ジョルディ・サヴァールは、世界中で演奏会をしていますが、パリにもよく来ます。これは、去年やはりこの映画の中のマレの曲をアンコールで弾いてくれた時の演奏会です。(左:チェンバロのピエール・アンタイ、真ん中がガンバのサヴァール)
他にもバロック音楽がお好きな方の楽しめる映画は以下のとおりです。
「カストラート」(1994)ジェラール・コルビオ監督 音楽クリストフ・ルセ
昔、存在したという男性でソプラノの様な高い声で聴衆を魅了したとされる、*カストラート*を取り上げたもの。音楽のルセはチェンバリストですが、彼自身のバロックアンサンブルと共に、大変活躍している、フランスの音楽家です。サン・ジェルマン・デ・プレに住んでいて、大のファッション好きだとか!?
17・18世紀はマリーアントワネットを始め、バラを愛してやまない女性が多かったようです。
「女優マルキーズ」(1997)ヴェラ・ベルモン監督 音楽ジョルディ・サバール ソフィー・マルソーが、自由奔放な女優を演じています。
「宮廷料理人ヴァテール」(2000)ローラ
これは、まだ私も見ていないので、同じ宮廷を料理人としての観点から描いているのは面白そうですね。
余談ですが、私の親しい友達で、フランス料理をパリで勉強し、3つ星レストランで数十人のフランス人のアシスタントとシェフの中で修行をしていましたが、その時のエピソードを聞くと、調理場も戦い!のような、忙しい中でも色々なジョークも飛び交いながら、何ともフランスらしいと思いました。
彼女は今、日本でフランス料理の教室を開いていますので、御興味のある方は、詳細をお知らせいたします。とても笑顔の素敵な、素晴らしいシェフ&気さくな先生で、私もファンの1人です。
また、*リディキュール*監督パトリス・ルコント
ヴェルサイユ宮殿内で、どのように地位のあまりない男の人が、知的でウィットにとんだ話のセンスで貴族を魅了し、王族にも気に入って貰えるかという、いわゆる18世紀の宮廷内での
*昇格物語*とでもいうのでしょうか。
当時は、家柄や財産と共に、いかにその人に*センス*があるのかというのが、大事だったようで、詩、絵画、音楽などの教養やマナーに加えて、その様な、センスもチャームポイントの1つだったようです。
この映画の中では、単語をそのまま言うのは直接的なので、あえてオシャレに装飾して会話をしている場面がありましたが、*音楽*を、そのまま言うのでなく、*耳の天国*(Le Paradis pour les Oreilles)と表現していた時には、思わず笑ってしまいましたが、何ともフランスらしいですね。
ヴェルサイユ宮殿のとても着飾ったドレスや、1m以上もあるのではないかと思われるかつらなど、かなり見ていて面白いです。
しかし、実際に17世紀後半の文献を読んだ時に、女性のかつらがどんどんと、流行の為に高さを増し、ついには何メートルにもなり、昔のシャンデリアについている蝋燭の火が、かつらに燃え移ったというエピソードも残っていたので、映画の中の衣装は忠実に再現しているのかもしれませんね。
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