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claveciniste et pianofortiste

デリケートなチェンバロ


今日は、フランス人の才能豊かなチェンバリストのプライベートコンサートを聞きに、サン・ルイ島にあるサン・ルイ教会に行ってきました。
このコンサートは、陽気なイタリア人のチェンバロ製作者のチェンバロが4,5年越しで完成したので、お披露目コンサートとして先週急に決まったようでした。
鍵盤はもちろん、金具の1つ1つそして金箔などもあしらわれた装飾全てを、1人で製作して手塩に掛けた我が子のような楽器だそうです。
お知らせがあってすぐだったにも関らず、教会内の小さな石作りの部屋には溢れんばかりの人が聞きに来て、チェンバロ音楽ファンがこんなに多くいることに驚かされました。

サン・ルイ島の隣のシテ島にあるノートルダム寺院。パリ発祥の島で10世紀以上前からパリの中心として栄えていたようです。

ということで、今夜のメインはチェンバロなのですが、やはりその楽器の色々な音色や可能性を引き出すのは演奏家。
そういう意味で、今夜は新しいまだ生まれたばかりの楽器の持つ可能性を十分に楽しめました。
楽器が本当に鳴り始めるまで、数ヶ月毎日弾いて、何か不都合があれば調整して・・・気候にも慣らして・・・・・と時間がかかります。そして、弾く人によってどんどん鳴らなくなってしまったり、鳴り始めたり、楽器は正直に反応します。
そうです。生き物の様に木も呼吸し、楽器も呼吸しているのですね。
だから、普通は乾燥する冬は加湿器を部屋に置いて、一定の湿度を保たないと弦の張ってある響板(下の写真で絵の描かれている部分)はわずか2・3ミリの厚さである為、簡単にひびが入ってしまったりします。
それも、季節によって木が膨張したり収縮するからです。
その為、古い木を使えば使うほど乾燥して一定しているので、音も響きます。今日の楽器の製作者は、どこかの17世紀の建物が取り壊された時、すかさずそこへ行って貴重な古い木を集めたりするようです。
以前にアトリエへ訪れた際、日本のかんぬきでサッと木を削り、(日本の道具は素晴らしい!とコレクションがある)
*ほら!17世紀の香りがするでしょ!?*っていたずらっ子のような目をして言っていました。
厚い鉄板の入っているグランドピアノを弾いていた時には、こんなことは全く知らず、チェンバロの音や音楽に魅かれてバロック音楽を追求し始めましたが、チェンバロのこういったデリケートさを知ったときには、
*まるで赤ちゃんのよう!*とビックリしました。
後にピアノは弦を*ハンマー*で叩く構造に発展する為、軽く弾けば少し叩く=ピアノ(小さい音) 強く叩く=フォルテ(大きい音)というように、強弱が可能になりました。
もともとフォルテピアノと言われていたものが、今ピアノと言われてる由来です。
ショパンの時代のPleyel社アップライト型ピアノ。

そして、調律や弦の張替え、弦を弾く*爪*のような部分が壊れれば音は出ないので、チェンバリストはみんな自分で削ってその部分を付け替えたりします。
その爪を削るのはミリ単位の作業で私も未だに苦手なのですが・・・
チェンバロの音を出すジャックと言われる部分。鍵盤を弾くとこの木が上がり、その先に付いている*爪*のような部分が弦をはじく構造。
チェンバリストは演奏家でもありますが、楽器の様々なコンディションや詳細を知らないといけません。
ということで、予定では既にパリに到着して装飾を始めているはずの私の楽器も、
案の定(!?)予定よりも遅れて未だにドイツの製作者の所です。
まだ板の状態で寝ているのか・・・できている途中なのか・・・多いに謎ですが、製作者を信じて待つのみですね。

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