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claveciniste et pianofortiste

プロヴァンス/Provence


TGV(高速電車)で4時間半乗り、10日ぶりにプロヴァンス地方からパリへ帰ってきた。
この旅での経験は、私とチェンバロとの関りの中で、かけがえのない貴重な体験となった。
まず、第一にフランスのチェンバロ界における、巨匠的存在のユゲット・ドレイフュスと、毎日、朝から晩までチェンバロについて、一緒に追求する時間を持てたこと。
1776年のHemsh(ヘムシュ)フランス製チェンバロを弾く、ユゲット・ドレイフュス)
そして、第2にフランスの文化的に貴重な宝とも言える、230年前に作られたオリジナルのチェンバロで自由に練習し、演奏し、コンサートをできたということ。
オリジナル(アンティーク)のチェンバロというのは、勿論とても珍しく、多くはヨーロッパ、アメリカ中の美術館に保管されているか、個人のコレクターまたは、演奏家が所有している。
手に入れたくても、発見されている多くのチェンバロは既に美術館が買い取っていたり、まず、売りに出ているオリジナルのチェンバロは、本当に稀であるし、値段が付けられないほどの価値である。
チェンバロは全て、木材を主な素材として作られている為、数百年経った、木は湿気や直射日光によって、膨張したり収縮する為、良い状態で保管することがとても重要である。
また、演奏し続ければ、勿論、壊れ始めたり、修理が必要な箇所が出てくる。その為、普通は特別に弾かせてもらえても、自分の好きな時に立ち寄って、何時間も弾けることは、とても珍しい。
多くの、古楽演奏者は、オリジナルの楽器の持つ、17世紀、18世紀の記憶が宿った本物の*音*を一音聞こうと、楽器めぐりの旅をするのも珍しくない。

なぜなら、その当時の人々そして作曲家が聞いていた*音*に一番近い可能性があるからだ。まさに*百聞は一見にしかず=百聞は一聴にしかず*とでも言うか・・・
今回は、チェンバロを初めて多くの楽器を見てきたが、こんなにゆっくりと、何日も、朝、目を覚ませば、朝食の前にオリジナルの楽器で、ちょっと弾いてみるという、考えられない贅沢な環境で、みっちりと音楽と向き合うことがてきた。
ユゲットの他にも5カ国から、人間性、音楽性ともに、とても素晴らしいチェンバリストが招かれ、衣食住を共にし、文字と通り朝から晩まで*チェンバロ三昧*の日々を過ごした。

最後の2日は、バッハの2台のためのコンチェルトをオリジナルのチェンバロで演奏し、次の日は、ソロのチェンバロ曲を12世紀のチャペルで演奏した。
コンサート終了後に外へ出ると、天の川が見えるほどの、満天の星空のもと、プロヴァンスの大自然と太陽を体一杯に吸収して、本当に素晴らしい時を過ごすことができた。

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