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claveciniste et pianofortiste

アンティークチェンバロの魅力/La charme du clavecin historique


皆様こんにちは。
どんな週末をお過ごしでしょうか。
イギリス・コブコレクションのルッカースチェンバロのあるお部屋
先日、楽器店で見つけたスコット・ロスのイタリア協奏曲G.レオンハルトのバッハ:パルティータ全集クリストフ・ルセのバッハ:ゴルトベルク変奏曲をこの数日聞いていますが、面白いですね。
この3人のチェンバリストは、ヨーロッパに現存するアンティークチェンバロでコンサート&録音しているベテラン中のベテランですね。
私たちの知らない、聞いたことのないオリジナルチェンバロの【音色】も同時に聞けるというのが大きな魅力です。
エジンバラの街並み
歴史的な古いアンティークのチェンバロの事は、よく【オリジナル】と言います。
それは、300年前に制作された名器はみんな【オリジナル】に対し、後世の今は、できるだけその名器に近ずこうと【コピー】楽器を作る事から、元のモデルという意味でそう言われているのかもしれません。
フランス語では、よく
【Le clavecin originel=オリジナルチェンバロ】
【Le clavecin historique=歴史的チェンバロ】
とも言われます。
パリの楽器博物館【le musee de la cite de la musique】は、世界的にも有名なチェンバロ・フォルテピアノを含むコレクションがあり、毎年のようにG.レオンハルトやクリストフ・ルセにより、オリジナルチェンバロを使用したコンサートが開催されていますが、300年前の楽器で300年前の音楽を再現して実際に聞けるというのは、本当に贅沢な事ですね。
まだまだ、演奏できる歴史的なチェンバロを個人のコレクションでお持ちの方達はフランスやドイツ、イタリアに沢山いらっしゃる様ですが、勿論個人的にコンタクトを取ることができなければ、博物館以外は難しいですね。
エジンバラ大学楽器博物館
2010年7月に、イギリスの楽器博物館やコレクション巡りをした際には、運良く3日間で3か所を回るという、大変効率の良いスケジュールで日程が組むことが出来ました。ご興味のある方は、このブログでも写真入りでご紹介させて頂いております。
この時、オフィシャルのWebサイトに載っているメールで見学をさせて下さいと連絡をしたのですが、3か所とも快く受け入れてくれ、駅まで迎えに来て頂いたり、博物館の休館日に一日中弾かせて頂いたり、親切にして頂き、もっと敷居が高いと思っていただけに、大変驚きました。
こちらよりどうぞ。
1日目:パリーエジンバラへ2時間ほどで飛び、翌日、St-Cecilia Hallにあるエジンバラ大学の楽器博物館へ。100種類以上のチェンバロとフォルテピアノがありました。
フィンチコックスのチェンバロの間
2日目:エジンバラーロンドンへ1時間ほどで飛び、ロンドン郊外のフィンチコックス・コレクション(Mozart-リストの時代まで名だたるフォルテピアノがあります)

3日目:ロンドンーロンドン南西にあるコブコレクションというNational Trust財団が管理している博物館。

プレイエル 1846年・ショパンが所蔵していたと数年前に発見されて話題になりました。
Ignace Pleyel 1846, owned by Chopin.

グラーフ 1836年・作曲家グスタフ・マーラー所有のピアノを死後、孫のマリアナによって寄付された。修復していないのでハンマーや弦も全てそのまま当時のオリジナルの状態で残っている貴重な楽器です。

アンドレアス・ルッカース1636年/ヘムシュ 

昨年度、私がゴルトベルク変奏曲を録音させて頂いたスイス・ノイシャテル博物館にあるチェンバロは、同じアンドレアス・ルッカース1632年ですが、こちらのコブスコレクションにあるのは、へムシュ(Henri Hemsch)というドイツ人でパリへ来てフランス人に国籍を変えた、名製作者によりラヴァルモン(18世紀にフレミッシュの名器ルッカースをフランス人の趣味に装飾、また音域をさらに広くする大改造)が行われたものです。
スイスのラヴァルモンはブロンシェによって手を加えられたという仮定がありますが、実際にサインなどは残されていなく、当時パリで活躍した名製作者によりものとされています。
それにしても、2年前に訪れたこの素晴らしい緑の装飾のルッカースも、記憶の中で・・・やはりかけがえのない貴重な体験でした。
でも、やはり【音】というのは香りと同じでどうしても記憶の中で薄れてしまいます。
音色やタッチは、いずれも目に見えないもので、その中で楽器に触れた時に時分がどのように感じるか、その【感覚】だけが残っています。
だからこそ、また弾いてみたい、聞いてみたい・・・という魅力があるのでしょう。
私も、またイギリスへ行く機会にコブスコレクションを訪れてみたいです。
とても素敵な女性の館長さんが案内して下さいましたが、実際にこの博物館の楽器で多くのコンサートが行われているようです。
まさに古楽器でその当時の音楽を聴くというのは、まるでタイムスリップをした様な、至福の喜びの時間ですが、現代においては、なかなか体験することのできない貴重なことかもしれません。
これからも、機会のある際にそんなひっそりと眠っている300年前の長老に会いに行く様な体験・・・
をしたいと思っています。
日本にも、法隆寺や伝統文化など【古い物を大切にする】精神が多く残っているので、日本の素晴らしさにも目を向けて行きたいと思います。

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