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claveciniste et pianofortiste

マゼラン図書館2/La bibliotheque Mzarin vol.2

もう少し後の17世紀の時代になるとチェンバロも盛んになってきます。
そんな時代の可愛らしいフランス歌曲(Air de Cours/宮廷の歌)のポケットサイズの楽譜がありました。

表紙にはフランス王朝のシンボルであるユリの花(マリア様のお花でもあります)が装飾に使われていることも多いです。
1655年R.Ballardの歌曲集、タイトルページ
今でも、これらの歌曲のファクシミレ(17世紀の写本をそのまま出版している楽譜や実際に図書館に眠っている楽譜をデジカメで撮ってプリントして見ながら演奏している人達もいますが、フランスにいないとなかなかそういうアクセスはないので珍しいですが、コレクターのチェンバリストは数千枚の出版されていない曲をすべてデジカメのデータで持って研究しています。
1615年CAUS 色々な機械や発明されたメカニックの研究書
なぜかそこにあったオルフェオの挿絵。圧巻!

そして有名なチェンバロのフランソワ・クープランの教則本*L’art de toucher le clavecin*1716年出版のオリジナルがありました!
茶色だったはずの?皮もまだら模様になっていますが、やはりフランス宮廷音楽家だっただけに*ユリのマーク*が光ってますね。
フロントページ、王様の為に・・・と献呈の文章があります。この時代は特に王様の許可がなければ出版できなかったので、この様に本になるというのは、名誉なことだったと思います。
前書き:王家や貴族のチェンバロのレッスンをよくしていたクープランがみんな私の思っていることと全然違う弾き方を平気でしたりするから、よく読んで気を付けてください!などと、座り方はちょっと斜め右だとエレガント、指はこう鍵盤に置いて・・・などと礼儀作法のようにも書いてありますが、勿論今のチェンバリストでその通り座って弾いている人はいませんね。(笑)体がねじれます。
左手の指使い1,2,3,4,5番で丁寧に書いてあります。
練習曲
スラーの練習
指使い
勿論、この有名なチェンバロの基礎が全て説明してある教則本のファクシミリ(この初版譜のまま)、訳書(英語、ドイツ、フランス語訳付)、日本語もどこでも買えますが実際にこの1716年に出版された貴重な数百冊の1冊を使ってこのマゼラン図書館で昔チェンバロのコンサートがあったそうです。
何ともチェンバリストにとっては栄誉なことですね!
では、今月は来週はずっとオーケストラのリハーサルとコンサート、その翌週はブリュッセルでフォルテピアノのリサイタル・・・と6月までノンストップなのでなかなかブログは更新できないと思いますが、6月のオーケストラとのドイツ公演、ノルマンデイー公演、また7月半ばの南仏でのバッハのチェンバロ協奏曲の情報など追って掲載します。
まずは、貴重な古書をご堪能下さい。思わず15世紀の本はあまりにきれいで持って帰りたい衝動に駆られましたね。昔からなぜかこの時代の古書に惹かれているので、いつかもっとよく知りたいなと思います。
今は、1794年に出版されたピアノとハープの為のDuetto(2台のピアノでも演奏可能)というJ.L.Dussek[デュセック)というハイドンの御弟子さんで当時パリ、ドイツ、イギリスで活躍した作曲家の初版譜を研究しています。
沢山間違いがあるので訂正して弾きやすいように2つのパートを1つのパートに書きなおしていますが、何しろ音が多くて1楽章と2楽章を書くのに10時間以上かかりました。
今日は、1日かけて3楽章を書きます。これはちょっとしたリサーチの内容なのですが、きれいな曲なので自分で編集した楽譜で演奏できたら嬉しいですね。
では、皆様もゴールデンウィークをお楽しみください。

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