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claveciniste et pianofortiste

最終段階/La derniere etape

皆様こんばんは。
2枚のCD録音編集とジャケットなどが90%終わりましたが、残りの最終段階の打ち合わせで毎日パリとやりとりをしています。
問題になっていたチェロのCD『キッチュなお人形さんのジャケット』でなく、ポツダムのサン・スーシー宮殿の昔の地図(多分18世紀の版画だと思います)を背景に差し替えた第2案が今朝届きました。でもこれは、著作権上でも無理なのでは?ということに。

こちらの方がシックな色合いで歴史を感じる雰囲気。断然、バロック好きな人はこちらを好むだろう…という感じ。パリの古本屋さんや昔の出版物を売っているお店にはよくこんな感じのパリの地図や風景画を見かけます。
レコード会社のDirector,ラファエルとパスカルも
『インパクトに欠けるのから、キッチュなお人形の方がやはり良いのでは?』
確かにそうかも・・・
趣味が悪くても取りあえず目は引く、印象には残る。
でも、ちょっと『大家まさこ みたいな???』そう、あのピンクずくしの・・・
でも、1つの事で4-5人が国を隔てて何となく不調和になっているよりも、誰かが譲ってすっきり企画がまとまるなら、それで良いかな?なんて反対の主張をするだけしましたが(迷惑な人ですね)、時間が経ってそう思いました。これも良い勉強だと思います。
ということで、キッチュなのは承知ですが、まあ始めの
お人形のデザインで良いか?ということになりました。
色はもう少しデザイナーが薄くするようですが。
それにしても、フランス人だから趣味が良さそう・・・というのは大きな間違い!
やはりどの国でも趣味の良い人は良い、品のある人はある、そして逆の例もあるということでしょうか。

これは、パリで借りていたチェンバロです。
17世紀後期フランス式のチェンバロです。ヴェルサイユ宮殿のオーケストラのチェンバロ奏者だったダングルベールやルイ・クープランを弾くのに最適。
小さい楽器なのに、朝起きて和音をタララ~と弾くだけで、物凄い響き!毎日びっくりする様な名器でした。こんな楽器で5カ月間練習できたのは、本当に感謝でした。
足や鍵盤の周りの彫刻も全部掘ってあります!まるで家具というか芸術品ですね。素晴らしい技術です。録音の時にも手伝って貰ったデイビットの楽器ですが、オリジナルのルッカースを弾いた時に、デイビットの楽器は『限りなくオリジナルのチェンバロに近い』と感じましたね。
それを横で聞いていたデイヴィットに、『勿論あなたのオリジナルだけど』と言って笑いました。
このチェンバロの持ち主は10年以上待ったそうなので、大事な楽器だと思うのですが、『レンタル代なんていらないよ~~っ』て!何て心の広い方!
しかし、17世紀後期限定モデルなのでバッハを弾くには鍵盤がなくて、ずっとゴルトベルクの練習中は、右手も左手も小指は『木』の部分になってしまうので、『コツ!』って音がしていました。(笑)
さて、私のバッハの編集も4回目が終わり95%終わりました。富士山の9合目と言う感じ?
しかし、ここに来て『果たして今までの方向は合っていたのだろうか…』と森の中を手さぐりに歩いて来て、ようやく道が見えたのに、良かったのだろうかと後ろをちょっと振り返る様な?感じがしました。
とにかく自分の耳と感覚、そして自分の中で『こういう音楽ではないか』と信じている感覚のみ全て見えない&触れないもの!!を信じてここまで2カ月作業をしてきました。
しか~~~~し!
この最後の5%をよしと決めてしまえば、もうそれが本当にそのまま世に出てしまうの~~!
っと、ちょっと自信喪失。。。
全て金具も手作り。自分でデザインして作るそうです。
そんなこんなで、4回目の編集を貰ってから数日寝かしており、最後の最後なので、とただ今3カ月日本語特訓の為に来日しているフランス人のチェンバリストにアドヴァイスを頂くことになりました。
やはり客観的な意見というのも最終段階になったら大事かと思いました。
明日一緒に聞いて、『音の響き』をそのままナチュラルにするか、残響音を足すか、変奏曲の間の『静寂』のタイミングなど細かいことをチェックして貰うことになりました。
彼女は今までに数枚のCDを出していますが、フランスのレコード大賞的なDiapason D’orも先月受賞して、一緒に天ぷらを食べてお祝い!?をしたベテラン。
純粋に音楽を追い求め、生きてきたタイプの正直な人です。なので、取り繕って嘘を言う事もないし、これはダメとはっきりと愛情を持って言ってくれます。
彼女自身、この間賞を取ったCDは、1度レコード会社の上司がやっぱり経費削減であなたのCDカット!と急に言われ、レーベルがなくなってしまったそうです。
しかし録音のみ自分達でして、その後に自分でいくつかのレコード会社に手紙とCDを送って取り扱
ってくれないか?と探してやっとベルギーの会社を見つけたそうです。
そして、何と素晴らしい賞を頂き、技術・編集の面では5点中5点の満点の評価だったそうで、エンジニアと演奏家の2人3脚で一緒にゴールまで練り上げて行ったと言っていました。
私のエンジニアはどうやら今パリでかなり売れっ子なので、まだ29歳なのにフランスを代表するチェンバリストのCDを次々に手掛けている今『のっている』子みたいです。
そのせいか、無名な『けいのCDにこんなに時間を掛けてられないわよ~~!!』っぽいメールが来て、私もその気持ちも分からないでもないけど、仕事は仕事でしょう・・・と。
パリと東京の距離のもどかしさを感じながらちょっと『しょぼ~~ン』としておりました。(笑)

そして、先ほど連絡があり、来週最終的な打ち合わせはSkypeで話す事になりました。
『結果的にはとても良い仕上がりになっていると思うわよ。』と初めてポジテイブな意見。
Merci~~~というか、ちょっとほっとしました。
ちょっと、こんがらがっていた糸がほどけたような。
果たして、自分が良しとする物が他人にどう見えるか、聞こえるかというのは全く分かりませんね。
勿論、共感してもらえたら嬉しいのは確かですが、特に音楽や絵画などは、とにかく自分の世界を追求していくしかないと思います。
その人がひたすら信じ追い求めていけば、それを『嫌い』『分からない』と毛嫌いしていた人も、何だかそれなりに『ふ~~ん。そんなのもあるんだ。』
ちょっぴり心のドアを開けてくれるかもしれません。
何はともあれ、何でも経験してみないと分かりませんね。
きっと次回編集する時には、もっと楽かもしれませんが、かけがいのない経験となりました。
13年の海外生活も今からもう1度やれ!と言われたら、
え~~~っ!!と
思う大変な事も山ほどあると思いますが、嫌な事はほとんど忘れて覚えていませんね。(笑)
でも、それだけエネルギーが必要な事だと思います。
今は、一生の宝だったと思いますが、あれは若かったからできたんでしょ~~なんて思ってしまいます。ふふふ。
今日は、5回目の筋トレ&ヨガで気分転換もしてきました。さて、いつまで続くかな?(笑)
音楽家ほど運動とほど遠い人種も居ないと思いますが(笑)

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